採用情報

LAWYER INTERVIEW

弁護士インタビュー

アジアTop Firmを目指し更なる成長を続ける

新川 麻(43期) / パートナー弁護士

TOPIC 01

なぜ西村あさひを
選びましたか?

私の両親は裁判官で、祖父を含め親族にも法曹関係者が多い家庭で育ちましたので、法曹界は身近な存在でした。大学に進学後、前期の教養課程で履修したキッシンジャー秘録を題材とした国際関係論のゼミが非常に面白く、国際的でダイナミックな仕事がしたいと思うようになりました。外資系金融機関等への就職も考えましたが、先輩から法律事務所でも国際的な業務に関与する機会は多数あると聞き、当時渉外事務所と呼ばれていた法律事務所に入る途を選びました。当事務所は他の大手渉外事務所に比べ、年齢層が若く新しいことにチャレンジしようという気概に溢れた弁護士が多くて活気がありました。前年に霞が関ビルからアークヒルズに移転すると共に、完全収支共同制を採用する組織的な法律事務所への途を踏み出した時期でした。日本における新たな法律実務を構築・発展させる原動力となる、英米の超一流法律事務所のような組織体制を持つLaw Firmとなることを目指そうという夢に共感して当事務所に入所することを決めました。

TOPIC 02

業務分野・担当案件に
ついて教えてください

私が当事務所に入所した頃には、業務分野はコーポレートとファイナンスに分かれており、私はコーポレートを選びました。当時のコーポレート部門はファイナンス以外の全分野を扱っており、今と比較すると法令自体はずっとシンプルでしたが、商法、証券取引法、税法、外為法、知的財産権関連諸法、独占禁止法、労働法と非常に幅広い分野の問題に取り組む必要があり大変でした。もっとも、パートナーになれば企業活動全般における経営上の問題についてアドバイスを行うことになり、様々な法律を考慮した上で総合的な視点で物事を考えることが不可欠になりますので、アソシエイト時代に幅広い分野の法律実務を学んだことはその後のキャリア形成において非常に役立ちました。入所してから1996年の夏に留学に出るまでの間は、M&A業務と紛争案件に主に携わりましたが、2000年4月に当事務所に復帰し翌年1月にパートナーになって以降は、M&A案件が急増したこともあり、外資系の事業会社やプライベート・エクイティ・ファンドが日本の企業・事業を買収する案件、日本企業による国内外での投資案件や経営統合案件、ジョイントベンチャー、敵対的買収案件等、専らM&A案件に携わってきました。入所当初から外資系企業を依頼者とする案件に多く関与しましたが、欧米で採用されているストラクチャーの中には日本法上許容されていないものも多く、日本の法律の下で同じ効果を達成するにはどうすれば良いか、日本法上どこまで許容されるのかといった問題を、案件メンバーと議論する日々でした。今も案件の遂行に際しては案件メンバーと頻繁に内部会議を行いますが、ここにおいては年次の上下にかかわらず皆が発言することが期待されており、皆で議論して考えることを積み重ねる中で思考力と論理的説得力が鍛えられていくと思います。

2015年から2021年の間は、政府の審議会等の委員としてエネルギー分野のポリシー・メイキングの場にも参加しました。電力・ガスの小売り全面自由化への移行に加え、脱炭素化、再生可能エネルギーの主力電源化、電力レジリエンス強化の要請、分散型エネルギーシステムの拡大、デジタル化等、事業環境が大きく変わる中、電力市場における競争政策、エネルギーシステム改革のための諸制度、再エネの主力電源化に向けた施策を具体化していく作業は、弁護士業務とは全く異なるもので大変良い経験になりました。各種制度を考えるに際し、コーポレートガバナンスや競争法制に関する知見が非常に役立ち、弁護士として身につけたスキルの応用範囲の広さを実感しました。

私が意識的に取り組んできたもう一つの分野が法科大学院における実務教育で、2004年4月から2016年3月までは早稲田大学の法科大学院で、また2019年4月から2022年3月までは東京大学法科大学院で教鞭をとる機会を頂き、公開会社のM&A、会社法、法曹倫理等の授業を担当しました。

TOPIC 03

仕事のこだわり、
やりがいについて
教えてください

個々の案件業務を通じて依頼者に最高のサービスを提供することが我々の仕事の中核です。M&A案件には、依頼者のマネージネント層や関連部署、フィナンシャル・アドバイザー、税務会計アドバイザーといった多数の人が関与し、チーム一丸となって案件をまとめ上げていきます。交渉の結果は契約書という形で結実しますので、ストラクチャーの構築や契約交渉における弁護士の役割は大きいです。途中様々な問題が発生しますが、これらを一つずつ解決し、最後まで妥協点が見い出せず残った問題を乗り越え、案件をまとめ上げた時の達成感は弁護士冥利に尽きるものです。

我々弁護士が果たすべきもう一つの重要なミッションは、個々の案件業務を通じて培った知見を生かしてあるべき法的インフラを作るという役割です。ビジネスを取り巻く環境は時代と共に絶えず変化しますが、このような変化の中で、既存の判例や学説において全く議論されたことのない新しい問題や、既存の考え方を当てはめただけでは正当なビジネス上のニーズが満たされないという状況が生じます。我々の事務所には絶えず革新的な案件が持ち込まれてきますが、実務の最前線で仕事をしていると、いち早くしかも次々に新規の問題に直面することになるわけで、何があるべきルールなのかを考え、時には学者の先生方や行政当局とも意見交換しつつ、法令、ソフトローといった形の法的なインフラを構築する営みに参加することは、非常にやりがいがあり、また知的好奇心も満たされます。経済のボーダレス化が進む中、持続可能な社会を実現するためにはどのような制度や企業倫理が求められるのかという議論が世界中で盛んに行われていますが、このような国際的な議論の潮流は当然日本企業の事業活動や日本の法制度にも大きく影響します。個別案件において登場する国内外の機関投資家の行動や主張を理解するためにも、また日本における法的インフラを構築するためにも、我々弁護士も常にアンテナを張って世界の流れをフォローすると共に、あるべきルール作りを牽引することが大切だと思います。

TOPIC 04

入所から現在まで、
事務所はどう進化して
きましたか?

1991年に入所した時は40名弱の事務所でしたが、1997年の金融危機以降急速に増加した大型の企業買収、破綻処理、不良債権処分等の波に乗り、業務分野、人員体制とも拡大し、2002年には100名の大台にのりました。

2000年以降、リーマンショックの影響で一時的に業務量が減った時期もありましたが、ビジネスロイヤーへの需要は着実に拡大し、これに伴い事務所の業容が拡大し、専門分野が細分化していきました。2004年1月には、倒産ブティック事務所である、ときわ総合法律事務所と統合し、それまで弱かった倒産・事業再生分野が盤石となり、事業再生、M&A、ファイナンス等複数分野が絡む大型案件に対応できる体制が出来上がりました。大規模かつ高度な専門知識を要する複雑な案件を複数同時に受任したとしても十分に対応できる組織体制を構築すると共に、欧米の一流法律事務所に比肩する事務所に成長することを目指して、2007年7月にはあさひ法律事務所の国際部門との統合を果たし、2010年1月に総勢480名を超える国内最大規模の事務所になりました。

2010年からは、事業の拡大と更なる成長を目指し海外に進出する日本企業のニーズに応えるべく、中国、ベトナム、シンガポール、ミャンマー、タイ、インドネシア、香港、ドバイ、ニューヨーク等に拠点を開設し、2019年10月にはタイのSCL Law Groupを買収・経営統合しました。更に2020年には台湾、ドイツにも拠点を開設し、現在合計14の海外拠点を有しています。海外に独自の拠点を持つことにより、日本のオフィスと現地拠点が連携して、日本企業のニーズにより即したきめ細やかな対応が可能となりました。近時は国外の企業から我々の海外拠点に依頼される案件も増えてきています。

TOPIC 05

将来の展望について
教えてください

当事務所は日本国内の法律事務所としては、Top Firmとして既に国際的に十分認知される存在になっていると思います。経済のボーダレス化が進む中、Global Law Firmとして国際的に認知される存在となるべく、まずは2025年までにアジア地域において最も質の高いリーガルサービスを提供できるLaw Firmとして認知される存在に成長することが、次なる目標です。私自身は2008年頃から事務所の国際業務を拡充するための様々の取り組みに参加してきましたが、日本の事務所が英米の大手法律事務所に伍する国際業務を構築することは容易ではありませんでした。10年超にわたって行ってきた海外拠点及び東京オフィスにおける国際業務の拡充により、日本以外の国の資格を持つ弁護士の数が20%を超えると共に、海外拠点で新たな実務を開拓しようという気概を持った若い世代も増加している今、アジア地域におけるTop Firmとしての地位を獲得することは夢物語ではなくなったと思います。これからは、日本国内案件、日本が絡むクロスボーダー案件に加え、アジア諸国間や欧米諸国とアジア諸国間の取引・紛争案件等、日本が絡まない革新的案件の取扱い数も増やし、日本の法律事務所としてのみならず、アジア地域を代表する法律事務所として国際的に認知されるよう、更なる成長を目指しています。

MESSAGE

これから弁護士になろうとする方へのメッセージ

基礎練習を積んである程度自在に道具を操れるようにならないとスポーツの醍醐味を味わえないのと同様、仕事も最初は基礎的能力作りから始まりますが、当事務所には着実な成長を後押ししてくれる仲間と組織力が存在します。法律家が活躍できる分野は今後も着実に広がっていくと思います。個々の案件業務を通じて依頼者に最高のサービスを提供することに加え、「法の支配」を礎とする豊かで公正な社会を実現するために貢献するという私共が掲げる価値観に共感してくださる皆さんが、次世代を担うメンバーとして当事務所に参加してくれることを心待ちにしています。