西村あさひ法律事務所

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業務分野ごとの秘書業務

弁護士と秘書には業務分野ごとの明確なグループ分けはありませんが、それぞれの分野を主に担当している弁護士と秘書に、日頃の業務についてのインタビューを行いました。

ページ内リファレンス

事業再生 秘書も当事者の関係性を理解していないと、うまく仕事が進みません
PFI 様々な案件の状況を、大まかにでも把握して、優先順位を考える
ファイナンス 先を読んで自分から主体的に仕事をしていく
コーポレート 一番大切なのは、明るく対応してもらうこと

事業再生


「秘書も当事者の関係性を理解していないと、うまく仕事が進みません」

柴原弁護士、A・Kさん(2004年入所/秘書)

事業再生の業務はどのように進められるのでしょうか?

柴原弁護士
事業再生とは簡単に言うと不振に陥っている企業の財務リストラをすること、つまり、債務の多い部分をカットして採算のとれる部門を立て直すということです。事業再生をするかしないかではかなり揉めることが多いのですが、実行されることになれば、終わるまで一気に短時間で進めていくことになります。

通常は、我々がまず再建計画案を作成し、それをもとに関係当事者と交渉を進めていきます。債権者、債務者、スポンサーといった多数の人が関わっているので、全国各地に出張して話し合いを行うこともよくあります。多いときは、新幹線で主要駅を辿りながら1日で5社を訪問して日帰りするという日もあります。


事業再生の業務の中では秘書はどのようなことを担当するのでしょうか?

A・Kさん
関係当事者や書類、データの把握・管理などをすることが多いです。例えば債権者10人に書類を送るにしても、10人全員に同じ内容のものを送ることばかりではありません。
10人いれば10通りの書類があり、秘書も当事者の関係性を理解していないと、うまく仕事が進みません。また、クライアント以外の当事者からの電話も多いので、その対応は簡単ではありません。こちらの事情を全くご存じない債権者から電話がかかってきて、担当者を確認する間もなく案件の内容を話し始められる場合もあるので、そのようなときは秘書が冷静に情報を確認しながらどの案件なのか推測し、弁護士やパラリーガルが対応すべきか、それとも自分が対応すべきかなどを判断しています。


特に秘書に助けられた経験はありますか?

柴原弁護士
私は出張を含め外出することが多いので、秘書に電話をかけて様々な情報の確認を行うことがあります。全ての予定や当事者に関するデータを自分1人の頭に入れて管理することは不可能ですので、留守を守っている秘書が確実に状況を把握し、伝えてくれることが大変ありがたいです。場合によっては、電話口にファイルを引っ張り出してきてもらい、「○○社の△△の書類に書いてあった□□の情報を教えて」などということもあるので、普段からきちんとファイルなどの整理をしていることが大事でしょうね。事業再生ではスピード勝負ということがよくあるので、必要な情報がすぐに出てくることはとても重要です。


やりがいを感じる瞬間は?

A・Kさん
再建策がまとまったときは嬉しいです。再建策は、弁護士と債務者、債権者が相談しながら作成していくもので、お互いの妥協点を探るのにはいつも苦労するそうです。私はリタイプや別紙の管理などを担当するのですが、何度も何度も修正を加えて作りあげてきたものが完成したときは、達成感を感じます。

また、全ての交渉が終わって案件が落ち着いた後に、債務者の方が、新しく生まれ変わった会社の名刺を持って事務所に挨拶に来られたりすると、無事ここまで来て本当に良かった、という気分になります。


今後、秘書に期待することは?

柴原弁護士
なかなか難しいかもしれませんが、案件の内容をなるべく深く理解してもらえるようになると助かりますね。それ以外には、エクセルの技を磨いたら良いと思います。N&Aでは基本的にワードを使用して文書を作成することが多いのですが、事業再生では実は数字を使うことが多いので、資料として送られてくるエクセルファイルの中の複雑な計算式を理解できるようになると、役に立つと思います。
A・Kさん
最近は先生が電話しているのを聞いただけで、どの案件に関するものか大体理解できるようになってきたので、今後は一歩進んで、先生の「言葉にならない要望」を理解できるように努めたいと思っています。エクセルも、業務の中で触れる機会が多いので、勉強中です。
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PFI


「様々な案件の状況を、大まかにでも把握して、優先順位を考える」

前田弁護士、M・Wさん(2002年入所/秘書)

業務内容について簡単に教えてください。

前田弁護士
PFI(Private Finance Initiative : プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)、つまり、国や地方公共団体などが行ってきた公共サービスを民間の能力を活用して行うという手法を法律的側面から検討する仕事をしています。PFIにより効率のよい公共サービスを提供することが可能となるほか、民間の事業機会を創出することを通じて経済の活性化を図ることにもつながります。

通常の弁護士業務では、ほとんどの場合、依頼者の要望が「法律に抵触するかしないか」を検討するのですが、私は政府の委員会の仕事もしているので、依頼者の要望に応えていくために「どのように法律を変えたり、ガイドラインを定めたりしたらよいだろうか」などと、前提条件自体を再考することも行っています。


PFIに携わる秘書にはどのような業務が多いのでしょうか?

Y・Hさん
「PFIだから特別な仕事がある」という感じではありませんが、多種多様な関係者が登場するので、スケジュールや資料の管理がとても複雑で、それに時間をとられることが多いです。
出張や外出で先生が不在のことも多く、その間に代わりにクライアントに対応することもよくあります。忙しいときは、受話器を置くとすぐにまた次の電話が鳴るなどということもあります。事務的な用件では直接秘書に問い合わせがくることもあり、中には先生を通さずに自分が窓口となってクライアントやパラリーガルと連絡をとって対応することもありました。そのような時は、クライアントから直接お礼を言われてとても嬉しかったのを覚えています。他には講演会の資料作成などをすることもありますね。


秘書に助けられていると感じるのはどのようなときですか?

前田弁護士
過去に例がない案件を扱う場合などは、実際の案件が動き出す前から計画段階の資料が送られてくることも多く、また、試行錯誤しながら長期スパンで動いていく件も多くあります。
形になっていない仕事というのは管理するのがとても難しく、案件が止まっているときなどは他のことに忙殺されて記憶が薄れてしまいがちですが、秘書が様々な案件の状況を大まかにでも把握して、優先順位を考えたうえでスケジュールを組んでくれたり、資料を整理してくれていることが非常に助かります。


失敗してしまった体験などはありますか?

Y・Hさん
一度ダブルブッキングをしそうになってしまったことがあります。最初に入った会議の時間が曖昧だったのでスケジュール帳に入れていなかったのを忘れ、もうひとつ会議を入れてしまったのです。幸い一方のクライアントから、都合が悪くなったから変更して欲しいとのご連絡を頂いて大事には至りませんでしたが、それ以来スケジュール管理にはさらに気をつけるようにしています。毎日ご多忙な先生はなかなか細かいスケジュールにまで気が回らないこともありますので、秘書が気付かなければいけないこと、と気を引き締めています。


秘書にどのようなことを期待していますか?

前田弁護士
今後はリサーチなどもしてもらえるようになればいいと思っています。もちろん今でも充分に助けてもらっていますが、この資料を探して欲しいといってそれを集めてもらえるようになると、さらに嬉しいですね。
M・Wさん
今はファイルやスケジュールの管理を中心としたお仕事が多いのですが、先生のリサーチのお手伝いをできるようになると仕事の幅が広がり、やりがいも増えそうですね。今後はそういったサポートも積極的にできるように、日常の業務をさらに効率よく行えるよう工夫していきたいです。
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ファイナンス


「先を読んで自分から主体的に仕事をしていく」

杉山弁護士、Y・Hさん(2001年入所/秘書)

ファイナンスの業務について教えてください。

杉山弁護士
ひとくちにファイナンスといっても様々な種類がありますが、私はその中でも、国内外のアセットファイナンス取引の案件に多く携わっています。具体的には、工場設備、航空機などのリース取引に関連する仕事です。1つの案件で何種類もの和文・英文契約書を作成するため、書類の種類・量はかなり膨大になります。


ファイナンス業務において、秘書が担当するのはどのような仕事ですか?

Y・Hさん
契約書の作成補助がかなりの部分を占めています。契約書はそれ自身で法的効力を持っているうえに、取引額はだいたい数十億、数百億単位のものが多いので、金額の数字はもちろん、日付や「.」(ドット)のような細かい記号にまで気をつける必要があります。

それ以外ではファイルの管理が多いです。多い時は10もの案件が同時進行することもあるので、どの案件のどの契約書がどこにあるかということがわかりやすいようなファイリングに努めています。

また、案件が多いとスケジュール管理にも苦労するのですが、関連するメールには全て目を通し、先生に言われなくても契約締結日、取引実行日などを把握するようにしています。


契約書の作成は、具体的にはどのように進められるのですか?

杉山弁護士
案件が持ち上がると、まず「タームシート」という、案件の概要や主な取引条件が書かれた資料が送られてきます。ある程度定型的な契約書の場合は、タームシートを見ながら以前に使用した契約書の金額や日付などといった必要部分を秘書に変更してもらい、土台となる草案を作ってもらうこともあります。和英両方の契約書があり、それぞれの法律用語をある程度覚えてからでないとできない仕事です。

また、クライアントと何度もドラフトのやりとりをして改訂を進めていく中で、最新のドラフトがどこにあるのか管理しておいてもらうことも重要です。


業務の中で心がけていることはありますか?

Y・Hさん
ファイナンス分野では海外のクライアントも多いので、普段からラジオの英会話などを聞いて英語の勉強をするようにしています。クライアントから送られてくるメールは私にも転送され、案件の内容を把握するためには内容をある程度理解する必要があるので、英語の読解力がないと困ることが多いのです。

また、以前に海外のクライアントからの電話について、曖昧な理解のまま先生にメッセージを伝えたところ、結局再度先方に確認しなければならなかったことがあり、英語の会話力も必要であると痛感しました。


秘書にはどのようなことを目指して欲しいですか?

杉山弁護士
一度依頼した業務については、そのノウハウを蓄積して、自らデータベース化し、後々の案件にも活用してもらいたいと思っています。似たような業務については指示を待つのではなく、自分でスピーディーかつ的確に処理できるようになってくれればとても助かります。向上心を持って次につなげていく姿勢が大事ですね。


業務を通して学んだことや今後の目標を教えてください。

Y・Hさん
先生の仕事ぶりを見てきて、「仕事というのは、追いかけられるものではなく、自分から追いかけるものだ」ということを学びました。先生のおっしゃるように、経験した業務をデータベース化して素早く情報を引き出せるようにし、常に先を読んで自分から主体的に仕事をしていくということを目指しています。
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コーポレート


「一番大切なのは、明るく対応してもらうこと」

新川弁護士、M・Aさん(2005年入所/秘書)

コーポレートの業務について教えてください。

新川弁護士
コーポレートの業務には、企業が直面する諸々の法律問題に対処するGeneral Corporateと呼ばれる業務と、企業の買収や合併などといった、いわゆるM&A(Mergers & Acquisitions)の2種類があります。ひとくちにM&Aといってもその手法は1種類ではなく、株式の取得や営業譲渡、会社分割、合併、株式交換などといった様々なものがあります。M&Aの業務では、まずはじめに基本合意書を結んでから買収対象の会社又は事業についてのデューディリジェンス(法的監査)を行い、その後、最終契約交渉を行い、最後に取引を実行するという流れが一般的です。


コーポレートの業務において、秘書はどのような仕事をしていますか?

M・Aさん
ファイルの管理や契約書の作成補助、スケジュール管理などを行っています。企業買収の契約は、何年も後になってからそれに関連する紛争が生じるということもあるので、作成する過程のやり取りを全て保存しておく必要があり、別の担当者がファイルを見てもわかるように気をつけています。デューディリジェンスで大量のコピー作業を必要とする場合や大人数が参加する会議の手配など、秘書同士で協力して進めるものも多くあります。また契約書のリタイプ作業については、タイプしながら大まかな内容を把握するようにし、特に弁護士から指示がない場合でも書式などの形式的な確認は秘書が自主的に行うようにしています。


どんなときに秘書に助けられていると感じますか?

新川弁護士
契約交渉の間は毎日のように契約内容の修正が生じます。スピードと正確性が同時に求められる中で、弁護士が契約内容の検討に集中できるよう、適切な優先順位で確実に事務作業を行ってくれる秘書がいてくれることがとても心強いです。契約書の添付資料である別紙もどんどん更新されていきますので、常に最新のものを把握してもらうのですが、契約は期日ギリギリの時間にまとまることも多いため、そういったときに秘書がきちんと細部まで管理しておいてくれると大変助かります。M・Aさんは私の担当になって間もない頃から、短期間で業務を覚えてくれるなど、要領が良いです。細かく指示しなくても自分で考えて行動してくれるので、とても頼りにしていますよ。


コーポレートの業務を通じて身についたことは何ですか?

M・Aさん
M&Aを通じてビジネスのしくみに少し詳しくなったと思います。自分が携わっている案件の記事などは、内容を理解することが実際の自分の業務に役立つことも多いので、以前より新聞をよく読むようになり知識も増えました。それから、特に新川先生とお仕事するようになってから、自分で考える癖が身に付きました。
スピードを求められる業務が多いだけに、特に案件が動いているときに細かいことをその都度質問していては先生の仕事の流れを中断させてしまうことにもなりかねないので、疑問が生じたときには、一度自分で考え、判断できない部分をまとめて効率よく先生に確認するようにしています。また、普段から先生宛のメールには全て目を通し、わからないことは所内の図書室で確認するなど、積極的に情報を得るようにしています。案件の流れを把握して、今、自分がどのように動くことが求められているのかを予測しながら仕事に取り組むことが大切だと感じています。


秘書に期待することは何ですか?

新川弁護士
先ほど述べた通り、適切な優先順位で確実に作業をするということが秘書の基本ですが、それ以外に大切なのは、明るさでしょうか。忙しいときに明るく接してもらえると弁護士の精神的な負担は軽減されます。また、秘書がどういう応対をするかということもクライアントにとっては事務所を判断する上での重要なファクターですから、クライアントに対して明るい対応をしてもらえるとクライアントにも良い印象を持っていただけるようになり、弁護士も仕事がやりやすくなるものです。秘書自身が仕事を楽しむことができれば、意識せずともできることかもしれません。


秘書の仕事のやりがいは何ですか?

M・Aさん
私は大学卒業後、営業職を3年間経験しましたが、自分には人をサポートする仕事の方が向いていると思い、秘書という職を選びました。秘書は、誰かの役に立っていると実感できる仕事です。先生の担当する案件が新聞に載ったときなどは、自分の仕事も社会の役に立っているのだな、と感じることができてやりがいを覚えます。そして新川先生は強い責任感で職務を遂行し、いつも多忙ながらどんな時でも明るく元気。しかも子育てと仕事を両立されていて本当に尊敬していますし、そんな人と一緒に働くことができるということ自体も大きなやりがいのひとつです。
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