西村あさひ法律事務所

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翻訳とは
職人的な一面も
弁護士からのコメント ~翻訳~


翻訳とは

日本語から英語、英語から日本語への翻訳を担当する業務グループです。翻訳する文書は、事務所の幅広い業務範囲を反映して、会社規則、契約、訴訟書類、論文、官公庁への提出書類など多岐にわたっています。
翻訳スタッフには、英語力と日本語力といった語学力はもちろんのこと、法律学の知識も必要とされます。また、大量の書類を短期間で翻訳するという依頼に応えるために、協調性も不可欠です。
新しい分野、自分がこれまで知らなかった分野の翻訳に取り組まなければならないこともあり、そのための勉強は常に必要となるので、自分自身の知識を高める努力を怠ることはできません。逆に基礎的な知識を持たずに行った翻訳というものは、弁護士ひいては依頼者の求めるクオリティを満たさないものであることは言うまでもありません。
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職人的な一面も

私たちが扱う翻訳の多くは、非常に短い期限の中で迅速かつ効率的に仕上げなければならないものです。では、短い時間で仕上げた翻訳だからといって、厳密さ、正確性が劣ることはあってはなりません。法律事務所の翻訳スタッフに要求されるのは、迅速かつ正確に翻訳を行うための集中力と忍耐力だと思います。
また、一人前の翻訳スタッフになるには長い年月と多くの経験が必要です。職人的な一面もあるため、なかなか成長しない自分に嫌気がさすことや、壁にぶつかることもあるかと思います。それを乗り越えることができ、仕事を生涯続けていこうと考えている人にとっては、翻訳とはやりがいのある仕事だと思います
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弁護士からのコメント ~翻訳~

国際的な取引において英語はまさにuniversal languageです。当事務所の国際案件でも、英語を用いた業務がその中心となります。中でも翻訳業務は、外国語に通じない日本の依頼者を助け、また言葉も文化も異なる外国から日本に進出する依頼者の貴重な拠り所となります。もちろん英語に不自由しない日本のビジネスマンは多数おり、すべての英語を日本語に、日本語を英語に直さなければビジネスが先に進まないということはありません。しかし、こと法律的な文書―端的には契約書―になると、日本の企業が会社として行う意思決定に、正確な翻訳が要求される場面が多数あります。また、外国の企業が日本語で契約を締結し、あるいは日本の行政当局に書類を提出しなければならない場合、信頼のおける翻訳が不可欠なのはいうまでもありません。
ところで話は変わりますが、皆さんは、次のような文章をざっと読んで意味がとれるでしょうか。

“Holders of the Participating Shares shall only be entitled to receive notice of, and attend and vote at general meetings of the Company called for the purpose of consenting to or taking any action by the Company in its capacity as a limited partner of the Master Fund.”

これは外国の会社の定款の一部です。日本だと本屋さんで定款の書式が手に入りますが、米国などではもっぱら法律事務所が作成するまさに契約書なのです。この文章は“receive notice of [general meetings]”と“attend and vote at [general meetings]”が並列されている「たこ足」構文であり、契約書独特のスタイルともいえます。では次はいかがでしょう。

“Subject to Section 9 below, any dispute arising from or relating to this Agreement in regard to the Exchange shall, unless resolved between the Firm and the Client, be referred to arbitration under the arbitration rules of the Exchange or to such other organization as the Exchange may direct before either of the Firm or the Client resorts to the jurisdiction of the courts.”

“Subject to Section 9 below”と“unless resolved between the Firm and the Client”を取り除いてみるとすっきり整理されるのがお分かりかと思いますが、契約書には「第○条に定める場合を除き、」とか「○○の場合を除き、」など原則に対して例外を書き分ける表現が頻繁に出てきます。このような表現は、契約交渉の結果妥協の産物として見られることもよくあります。ちなみに、上の文章には文法の教科書で出てくる“such~as”も入っています。では、文法の得意な人に、次はどうでしょう。

“The Guarantor shall not be discharged by time or any other concessions given to the Borrower or any third party by the Lender or by anything the Lender may do or omit to do or by any other dealing or thing which, but for this provision, would or might discharge the Guarantor.”

お気づきのとおり「仮定法」が出てきます。学校でしか習わないと思った「○○がないとすれば○○するであろうに(実際はしない)」という表現が使われています。簡単にいえば、借主(主たる債務者)が免除等を受けても、保証人はその債務を免れないという意味なのですが、わざわざ「この規定がなかったとしたら保証人が免責されることとなるであろういかなる事由があっても[債務が支払われない限り]保証人は免責されないぞ」ということを言っています。では最後にこれはどうでしょう。

“The Company agrees to indemnify and hold harmless each Manager, the directors, officers, employees and agents of each Manager against any and all losses, claims, damages or liabilities, joint or several, to which they or any of them may incur or which may be made against them, insofar as such losses, claims, damages or liabilities (or actions in respect thereof) arise out of or are based upon any untrue statement or alleged untrue statement of a material fact contained in the Offering Memorandum, or in any amendment thereof or supplement thereto, or arise out of or are based upon the omission or alleged omission to state therein a material fact necessary to make the statements therein not misleading, and agrees to reimburse each such indemnified party promptly for any legal or other expenses reasonably incurred by them in connection with investigating or defending any such loss, claim, damage, liability or action...”

英文契約書に非常に典型的なindemnificationの規定ですが、この辺まで読んでお分かりのように、やたら繰り返しが多く冗長な(上記ですら実際の条文の3分の1程度の抜粋でしかない)、通常であれば「悪文」ともいうべき文章が次々と現れるのが英文契約書なのです。しかしながら、これらの文章はみな、長年の伝統の積み重ね、当事者の真剣な交渉、ドラフトした弁護士の正確性、統一性へのこだわりの結晶なのです。こうした背景が分かってくると、一見難解な文章も、法則に支えられ、論理的に練られた精緻な作品(work product)であることが見えてきます。そしてドラフト担当者が何を表現したかったのかが掴めるととともに、自分だったらこういう風に書く、という像が描けるようになります。このようにして身につけたexpertiseは何ものにも代え難いものとなります。
当事務所は、英から和、和から英と、法務文書の翻訳者がそのexpertiseを高めるあらゆる機会に恵まれています。得意な英語を活かして仕事がしたいという前向きな気持ち、日本語と英語に代表される異なる法文化の架け橋になってみたいという純粋な気持ち、そしてほんのちょっとのこだわりがあれば、きっとあなたにもできます。お待ちしています。
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